こんにちは、こんばんは。Ariesです。
最近は育児関係や写真関係の記事が続いていますが…
ワタクシ、本職は鍼灸師です。鍼やお灸の話についてはまたの機会にしますが、今回はタイトルの通り。
実際、鍼灸師として仕事をしている中で友人や患者様などから頻繁に聞かれる質問でもあります。
「整体と接骨ってなにが違うの」
「整骨院と接骨院って違いがあるの?」
「整形外科と接骨院ではどんな違いがあるの?」
そんな質問に対して、一応業界人としての見識から解説をしていこうと思います。
①整形外科
これは、説明する必要がない気がしますが一応。
病院です(完結)
・・・・さすがにあっさりしすぎなので少し詳しく。
主に運動器と呼ばれる骨や関節、筋肉といった部位の疾患に対し機能的な改善を目的に治療する専門の外科、という位置付けの診療科になります。
例として挙げると、スポーツや交通事故などで発生する捻挫や打撲、骨折といった外傷に対するギプス固定や整復治療。
高齢者に多い、変形性関節疾患(膝関節や脊椎など)やリウマチ、骨粗しょう症などに対する治療をしています。
外科なので、場合によっては手術を行うこともあり、骨折に対するプレート固定や脊柱管狭窄症に対する拡張手術、変形性膝関節症の方であれば人工関節への置換手術、といったものが挙げられます。
医師が診察・診断を行いますので病院によって設備の差はありますがレントゲンやMRI・CTといった画像診断が行えるという点も大きな特徴の一つです。
また、中長期間に渡る疼痛疾患などに対しては痛み止めや湿布の処方、通院時の温熱療法やけん引療法など物療と呼ばれる治療を受けることができます。
整形外科の特徴
〇医師が診察・診断を行うため、画像診断ができる
〇病院なので薬の処方をしてもらえる
〇運動器の専門診療科である
整形外科に関しては以上です。
正確な病状(病名)の把握や画像診断による異常所見の確認など「明確な診断」を行える場所です。症状の原因がはっきりしている場合でもそうでない場合でも「自分の体が今どういった状態なのか」を判断してくれる確度の一番高い診療機関です。
[https://twitter.com/Ortho_FL/status/
整形医おるとさんもTwitterでこう仰っています。
医者に行かなくてもほっとけば治るよね?とか、薬貰ったからもう来なくてもいいよね?と言われることが多々あります
— 整形医おると🐦執筆中 (@Ortho_FL) 2019年3月20日
そもそも医療機関を受診する目的は
・診断を正しく行う
・現在の治療法が妥当か評価する
この2点が重要と考えます。
これは整形外科に限らず、どの診療科でも同様だと思います。
②接骨院と整骨院
これは、ひとまとめに解説した方がわかりやすいかと思います。
どちらも基本的には同じです。
「柔道整復師」という国家資格者による施術を受けられる治療院がこの接骨院・整骨院です。
柔道整復師という名称が聞き慣れないという方も多いかと思いますが、柔道の字の通り、柔道が発祥の日本の伝統医療です。柔道の稽古の中で捻挫や脱臼といった怪我をする事が多くありますがそういった時の処置として生まれ、体系化されていったものが柔道整復の技術だと言われています。
名称の違いは、やや複雑な背景が絡んでしまいますが、本来法律で規定されている施術所の名称は「ほねつぎ」「接骨」のみです。
整骨院について厳密にいえば法に触れている名称ということになりますが、一般的に広く認知されている名称のため、慣例上認められているのが現状です。
③整体院
名前が整骨院と似てるのでややこしいですが、端的に言いましょう。
整体師は国家資格ではありません。
このブログを読んで頂いている画面の前の皆さんが「明日から整体師になります」と言ってもなれてしますのが整体師です。
整体はいわゆる民間療法の一種です。公的には資格そのものが存在していません。
「整体師」というのは国家資格でもなんでもないので、今このツイートを見ているあなたが今日から「整体師」を名乗って施術院を初めても法律上は問題ありません。そういう名称です。
— Dr_Koala™ (@Dr_Koala_) 2019年3月21日
Dr_KoalaさんのTwitterでもこの通り、お話されています。
手技を用いて関節や骨格のズレを矯正し、体を正常な状態へと正していく。これが一般的な概論なのですが、国家資格でないがために流派も手技も考え方もかなりバラバラで、統一された見解といったものは厳密には存在していません。
養成校なども存在しているが教育のレベルも疎らで、一定以上の医療知識が備わっているとはお世辞にも言えないのが現状です。
とはいえ、腕の良いセラピストも大勢いらっしゃるのが現状なので何とも言えませんが・・・
海外が発祥のオステオパシーやカイロプラクティックといったマニュピレーションの手技などと部分的には共通しています。そのあたりの細かい話は機会があれば解説したいと思います。
整体院の特徴
〇国家資格ではないので知識や技術にかなり差がある
〇関節や骨格といった歪みの矯正を主としている
〇誇大な宣伝文句にはやや注意が必要
別に整体を否定するわけではありません。自分も部分的に行うことがありますし、考え方や視点は参考にすることもあります。
ただ、公的な資格者ではないがゆえに、法律を一種無視して営業している所も多々あり、そういった現状に関しては非常に腹立たしい気持ちでもあります。
最近では「施術はあくまでリラクゼーションを目的としたものであり、症状の治癒を目的としたものではない」みたいな同意書を書かされた上で施術を提供するところも多いです。何のためにやってるのかわかりませんね。
まとめの三番目に書いた誇大な宣伝文句というのは「免疫力を高めてアレルギーが治る」とか「姿勢を正すことで学力がアップする」とかそういった類のものです。何の根拠もありません。
個人的な見解
基本的には「まず、整形外科へ」というのがスタンダードだと思っています。
怪我の場合、事故の場合、数年前から痛みがある、関節が変形している・・・どんな場合でもまずは検査をしっかりして
「その症状の原因が何なのか」をはっきりさせる事が大切です。
ただ、西洋医学を基本とした病院の診察では異常がはっきりしないものは原因不明で片付けられてしまうものも多くあるのも事実です。
そういった時にセカンドオピニオンとして、整形外科の受診先を変えるという選択もありだと思います。
それが外傷性の痛みなら、接骨院へ通うのも良いかもしれません。慢性的な痛みなら、鍼灸院という選択もあります。
人間の体ってとても不思議なものでどれだけ医療が発達して化学が進展していっても、全てが解明されている訳ではありません。
長年苦しんできた痛みが、整体院に行ったら治ってしまった、というのもあながち嘘ではなく本当の話として存在しているケースもあります。
ですが、先ほども文中に書きましたが「肩こりで接骨院に行く」「整形外科はいつも混んでるから整体院でみてもらおう」といった安直な選択を
しないという事が一番重要であると思っています。
さいごに
鍼灸も接骨もそうですが、正しい認知のされ方をされていないのが大きな問題点です。
それにより困ってしまうのは我々セラピストではなく、患者様であることが多いので、一人でも多くの方に
正しい理解をして頂きたいな、と思います。そして、いま抱えている様々な痛みや苦しみといったものから
一日でも早く解放される日が来るようになることをセラピストの端くれとして切に願っています。
長々と書き綴ってしまいましたが、読んで頂いた方、ありがとうございました。